【NHK】クロ現「繁殖引退犬 子犬を産んだその後に…」を観て【前編】

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    少しずつ日差しが春めいてまいりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。もりたさんちのマルチーズです。ここ数日の話になりますが、京都は連日地震が発生しています。14日は震度4、15日は震度3を計測しました。数年ぶりに体感する大きな揺れに、動揺を隠せません。令和6年能登半島地震(石川県能登地方の地震に関して、気象庁は正式に 「令和6年能登半島地震」と命名しました | NHK | 令和6年能登半島地震)で被災された方々を思うと、些細な出来事かもしれませんが、明日は我が身、最低限の防災グッズは準備しておきたいと思います。皆さまも、どうか何かあってからでは遅いので、ひとつでも悲しみを減らすため、ひとつでも多く災害に対する備え(災害が起きる前にできること | 首相官邸ホームページ)をしておくよう、どうぞお願い申し上げます。

    はじめに

    「世界最古の愛玩犬、マルチーズが世界を平和に導くことができる」と本気で信じている、京都でマルチーズ専門犬舎を運営しているもりたさんちのマルチーズです。

    もりたさんちのマルチーズは、紀元前から人々に寄り添い幸せを与え続けてきたマルチーズを増やす活動を行っています。自信を持って言えること、それは「当犬舎には純血種同士の本物のマルチーズしかいません」ということ。世界中の人々を我が家のマルチーズで幸せにしていきます。

    ひとりでも多く、幸せな飼い主を。一頭でも多く、幸せなマルチーズを。

    を忘れることなく、邁進してまいります。

    最近のお問い合わせ状況

    お問い合わせ状況について特筆すべき事項はございません。ご予約をお待ちしています。

    最近のもりたさんちのマルチーズ

    前回のブログで、当犬舎のケイツ(女の子)の妊娠を報告させていただきました。ここ数日、ケイツは食欲がありません。少し前まで大好物のK9ナチュラルを食べては吐くということを繰り返しておりました。以前と比べて食事の好みにも変化が起きているようです。所謂(いわゆる)つわりと呼ばれるものかと思います。毎日の体重測定、検温を行い、まずはケイツの体調を第一に、身体を冷やさぬよう見守りたいと思います。

    【NHK】クロ現「繁殖引退犬 子犬を産んだその後に…」を観て

    先日のことです。帰宅時に妻から「さっき、NHKのクローズアップ現代で繁殖引退犬の特集をやってたよ、勉強になるから観ておいて」と話がありました。私たち、もりたさんちのマルチーズは仕事柄、テレビ番組の放送やインターネットの配信等で犬や猫が扱われているニュース・情報には常にアンテナを張るようにしており、必ず視聴・確認を行うようにしています。

    早速、NHKプラスの見逃し配信を利用してクローズアップ現代を視聴いたしました。内容はブリーダーによって繁殖のために飼われていた犬たち「繁殖引退犬」のその後を問題として取り上げた放送でした。

    当犬舎にとっては他人事でも対岸の火事でもない、とても重要な放送でした。もちろん、ほとんどの内容が既に知っている情報ではありましたが、改めてこの業界の闇の一面とも言えるべき内情を、NHKが問題視して特集を組み放送したことは、まさに渦中にいる私たち、もりたさんちのマルチーズもこの機会に何らかの考えを世に発信していかなければならないと思いました。

    NHK クローズアップ現代 繁殖引退犬 子犬を産んだその後に...

    そこで、今回の記事は前編と後編に分けて、このNHKのクローズアップ現代で放送された「繁殖引退犬 子犬を産んだその後に…」をテーマに進めたいと思います。前後を通して、大変長文になるかもしれませんが、お付き合いのほど、よろしくお願いします。

    記事の目的と展開

    ■目的

    この記事は、所謂(いわゆる)YouTube等で問題になっている「ファスト映画」のような、NHKが放送した内容を要約して紹介することを目的としていません。わざわざ当犬舎のケイツ(女の子)が妊娠した、この時期にあえてこのテーマを取り上げるのは、NHKが放送した内容をより多くの人に知ってもらい、一緒に考えていただき、少しだけよければ、私たち、もりたさんちのマルチーズの今後の取り組みも知って頂けたら嬉しいということを目的としています。

    ただし、そもそも、そのような放送があったことを知らない方、観てない方もいらっしゃるかと思います。そういった方のために、きちんと記事の内容が理解できるように注意して進めようと思います。もし、実際に放送された内容に興味がございましたら、NHKの公式サイトにも記事でまとめられていたので、ご覧いただけますと幸いです。

    さまよう繫殖引退犬 ペット業界の課題に迫る | NHK クローズアップ現代 全記録

    10万頭の犬が行き場を失う?手放される“繁殖引退犬” | NHK | WEB特集

    ブリーダーから引き取った“繁殖引退犬”の体に異常が・・・番組に寄せられた声を取材 | クローズアップ現代 取材ノート | NHK みんなでプラス

    ■展開

    前編は放送内容の概要や、各問題提起に対する感想や考察、業界のポジショントーク。後編では私たち、もりたさんちのマルチーズが知っている現状や今後、業界はどうなるべきか、未来への展望、そして私たち、もりたさんちのマルチーズが向かうべき未来と模索といった内容でお送りできればと思います。

    特集の概要

    冒頭、アナウンサーから問題提起がなされます。

    「ペットショップに並ぶ、可愛い子犬たち、その親犬の存在を考えたことはありますか?」

    今回、このクローズアップ現代「繁殖引退犬 子犬を産んだその後に…」(全編・約27分)の展開ですが、最初に業界の現状(繁殖引退犬の実態)を知ってもらうところから始まり、大きな問題となるに至った因果関係(動愛法改正に伴う規制強化)改善していくための業界の取り組み(繁殖引退犬の引き取り)引き起こされる弊害(悪質な保護団体)アニマルウェルフェアと海外の現状、そして総括といった流れで放送されます。主な項目はNHKのサイトでも記載されておりましたので抜粋させていただきます。

    <番組の内容>
    ・さまよう繁殖引退犬 ペット業界に異変!?
    ・ブリーダーが抱えきれない 繁殖引退犬はどこへ
    ・動物愛護管理法 なぜ改正されたのか
    ・行き場のない犬 譲渡めぐる課題は?
    ・譲渡トラブルや健康状態の問題
    ・ペットをめぐる課題 どう改善していくか?
    ・ペットを守るには何が?アニマルウェルフェアとは
    ・ペット業界と社会 命に対する責任を

    【最初に】NHKのミスリード

    まず最初に、誤解がないように説明させて下さい。この放送でNHKは「業界」の範囲に関して、視聴者に誤解を招きかねない、印象操作があると感じました。私見ではありますが私たちなりに「業界の範囲」を限定させていただきました。

    NHKはこの放送の中で繁殖業者(ブリーダー)を起点として、一般の飼い主さまに子犬が引き渡されるまでを一括りに「業界」としているような印象を受けます。しかし実際にはこの「業界」とはペットオークションが中心となっています(参考画像の赤枠の流通経路)NHKはこのペットオークションに生体を卸している繁殖業者(ブリーダー)を対象に問題の提起をしています。

    シリアスブリーダーと繁殖屋

    私たち、もりたさんちのマルチーズを含め、零細で一生懸命に自分たちの大好きな犬種をブリードして、自分たちの目指す理想の犬種を作出するために日々頑張っているブリーダーはこれに当てはまりません。真のブリーダーはペットオークションを利用するブリーダーを忌み嫌い、自分たちとは違う存在として、自分たちのことを「シリアスブリーダー」と自称し、そうではないブリーダーたちを「繁殖屋」「犬屋」と呼んだりします。

    今後も、ペットオークションを利用する「繁殖屋」は、私たち「シリアスブリーダー」とは相容れない存在であり、その軋轢は深まっていくものと思われます。

    クローズアップ現代を観て【前編】

    前置きが長くなってしまいました。この記事の目的と展開を知っていただき、今回のHNKのクローズアップ現代が取り上げる「業界の範囲」を理解していただけたものと思います。それでは前編をスタートさせていただきます。

    動物の愛護及び管理に関する法律の改正

    業界に激震が走ったのは2019年でした。動物愛護管理法(以下「動愛法」)が改正され、大幅に規制が強化されました。具体的に明確な数値基準が設けられたのです。

    ●規制強化の内容
    ・犬舎で飼育できる繁殖犬はスタッフひとりあたり15頭まで
    ・生涯において出産回数は6回まで
    ・交配時の年齢は原則6歳以下

    犠牲になり続けた母犬たち

    規制が強化されるまで、悪徳と呼ばれるブリーダーは何頭でも、何回でも、何歳でも母犬を出産する機械のように扱い続けてきました。皆がこの悲惨な現状を食い止めなければと思う中、一向に改善されず、母犬たちは犠牲になり続けました。規制がないことを都合よく利用してブリーダーは利益を上げ続けてきました「ブリーダーは儲かる」とたまにうそぶく関係者がいますが、儲けるには「悪魔に魂を売り渡す」「ブリーダーではなく繁殖屋に落ちぶれる」必要があることを忘れてはなりません。

    また、規制がないためブリーダーは考えることを止めてしまいました。できるだけ狭いスペースで、たくさんの繁殖犬を飼育し、たくさんの子犬を出産させて、たくさんの子犬をペットオークションに出品する。まさに小学生でも考えつくような頭脳しか持たなくなりました。

    しかし、ようやく飼育できる繁殖犬の頭数、出産回数および出産年齢に制限が設けられました。加えて犬舎スペースに応じて飼育できる犬の総数も制限されるようになりました。さらに政府は繁殖引退犬の終生飼養をすべてのブリーダーに求めています。規制されるということは、頭を使い生き残っていかなければならないことを意味します。ブリーダーの自然淘汰が始まりました(法改正されたにもかかわらず、法律を無視している業者が存在することは除きます)

    そして、ようやくペットショップを始めとした展示販売の規制まで、あと一歩というところまで来たのです。

    【事例】収入が前の年の3分の1にまで落ち込んでしまったブリーダー

    規制が強化されたため、経営が厳しくなった繁殖業者(ブリーダー)が、繁殖犬を大量に処分している現状が紹介されます。事例として紹介されたのは20年余りブリーダーを続けてきた女性です。この女性ブリーダーは、度重なる規制の強化に加え、エサ代、光熱費、人件費の高騰により経営が立ち行かなくなっており、収入が前の年の3分の1にまで落ち込んでしまった現状に対し窮状を訴えます。

    放送内容によると、この犬舎ではスタッフが6名おり、規制が強化される前までは150頭もの繁殖犬を飼育していたようですが、基準を満たすため70頭を繁殖犬から引退させ、その中から最終的に20頭を処分するという決断をしたようです。

    里親に出すことの是非よりも計画性のなさが問題

    経営が厳しくなっていることは理解できました。しかし言い過ぎかもしれませんが、規制がないことを都合よく利用して母犬が血を流し続けている傍らで利益を上げ続け、甘い汁を吸ってきたことも事実ではないでしょうか。規制の強化に苦しむブリーダーに同情してはいけません。

    ただし、ブリーダーが抱えきれなくなった繁殖引退犬を里親に出すこと自体は、ブリーダーという仕事自体が、慈善事業ではなく営利目的であることを考えれば、仕方のない面があるかと思います。現実問題としてブリーダーが繁殖引退犬を終生飼養するために必要となるコストは感情論を抜きにして、経営難に陥るほど大きなものであるからです。増え続ける繁殖引退犬、増え続ける飼育コスト、そして生体価格への飼育コストの転嫁が許容できない消費者との板挟みもあり、最終的に犬舎の発展に貢献してくれた繁殖犬を手放さざる得ない状況は、想像に難くありません。理想論を並べ立てるのではなく、理解はすべきと考えます。

    重要なことは、繁殖犬が引退後も幸せ余生を過ごせる環境を計画的に用意しているかどうかです。繁殖引退犬が幸せに暮らせるのであれば、場所は犬舎でも里親でもどちらでもよいのではないかと思います。

    ただし、そもそも「仕方なく手放さなければいけない状況」であることと「入念に準備をして計画的に里親に出す」のとではまるで違います。前者であれば、結局のところ後述するペットオークションの運営会社が用意するシェルター(行き場を失った繁殖引退犬を引き取る施設)に預けるしか選択肢がなくなってくるのではないでしょうか。それで本当に繁殖引退犬が幸せになるのでしょうか。

    「業界」の被害者感に違和感

    「業界」に携わるブリーダーが、この規制の強化によりまるで被害者のように話していることに違和感を感じました「繁殖引退犬を手放すのは私たちの責任ではない」「規制が強化されたのだから仕方がない」果たして本当にそうなのでしょうか。よく考えてみてください。そもそも社会の流れ、世界の流れが動物愛護に向かっているにもかかわらず、何も考えず業界が繁殖犬を増やし続けてきた実態があります。

    規制の強化は突然始まったことではありません。政府はブリーダーおよび業界が困らないよう、スタッフひとりあたりの飼育可能な繁殖犬の頭数に関して「経過措置」を取り、準備を進めるよう促してきた経緯があります。

    経過措置の内容

    • 2022年6月 ~25頭まで
    • 2023年6月 ~20頭まで
    • 2024年6月 ~15頭まで

    年々規制が強化されてきたにもかかわらず、状況を改善せず対策をしてこなかった結果、経営危機を招いたのではないのでしょうか。因果応報、思考停止のまま漫然と繁殖犬を増やし続けてきたブリーダーたちに犬たちの復讐が始まりました。

    そして、本当の被害者は犬たち自身であることを忘れてはいけません。規制が強化されたからといって繁殖犬を処分せざるを得ない状況を作っている計画性のない犬舎は、もはや立派なパピーミル(子犬工場)の仲間入りをしていると言えるでしょう。

    【ポジショントーク】ペットオークションの存在と闇、そして運営会社

    規制の強化によりブリーダーが抱えきれなくなった繁殖引退犬を、引き取る取り組みを行っている業界団体のインタビューが始まります。業界団体とは関東のペットオークションでは最大手の「関東・B&Bペットパーク」です。放送の中で代表とされる方(以下「代表」)が「自分たち(業界)から出た飼いきれないワンちゃんを自分たちが助けなきゃいけないとやり始めた」と話しています。

    正直な気持ちを言うと、あまり良い印象を持てませんでした。

    代表もまた、業界がこのような問題を抱えるとは予測できなかったと、心の葛藤やブリーダーのジレンマに苦しんだひとりなのかもしれません。しかし、まずNHKは代表が「自分たちから出た」と言っていることに対し「(業界)から出た」とテロップを付ける必要はないと思いました。あえてつけるのであれば「(ペットオークション)から出た」とするべきなのではないかと思いました。

    私たちが良い印象を持てなかった、その理由

    ここではあえて「繁殖屋」と表現しますが、繁殖屋がなぜ大量に繁殖犬を飼育し、母犬たちに子犬を毎日毎日出産させ続けても販売ができるのかです。

    ・大量の子犬をどうやって販売しているのか?
    ・大量の子犬はどこへ向かうのか?

    答えは簡単です。ペットオークションに持ち込むことです。まさに問題の根本的原因、元凶ともいえる安くても必ずその場で引き取ってくれるペットオークションの存在があるからです。

    逆説的にいえば、とりあえず産まれた子犬はペットオークションに出品すれば「捌く」ことができる、ブリーダーの駆け込み寺のような存在がなくなれば、少なくとも毎日毎日、漫然に産ませ続けても、子犬を「捌く」ことができず、経営が成り立たず業界から退場していくことになるでしょう。

    仮に繁殖屋が、自分たちの犬舎で産まれた子犬を愛情を持って育て、自分たちで家族を探すという非常に手間がかかる仕事をする必要が出てくれば、このように管理しきれないほど、母犬に子犬を出産させるはずがありません。なぜなら、必ず売れない子犬が出てくるからです。「捌く」ことができず、まずは「どうすれば良いご家族が見つかるか」ということに注力し始める、ようやく頭を使い始めるということです。

    代表が「自分たちから出た」「自分たちから出してしまっている」は贖罪のようにも感じました。そもそも自分たちが始めた犬の競り市がなければ発生しなかったかもしれない問題に対し「私たちも取り組みを行っていますよ」はただのポジショントークにしか感じませんでした。

    本当に犬たちの未来を考えるのであれば、ブリーダーが抱えきれなくなった繁殖引退犬を引き取る会員用シェルター以外に、そもそもペットオークションに出品するブリーダーに子犬の出数制限をかける、ペットオークションに登録しているブリーダーの犬舎の飼育状況をインターネットで公開して、ユーザーが検証できる仕組みを作るなどしてはどうかと思います(これはマッチングサイトでもいえることです)代表自身が動愛法の規制強化に反対している時点で無理な考えかと思いますが…

    どこかの番組で代表が「競争(オークション)がなければ良いものは生まれない」と発言しているのを見てゾッとしてしまいした。どうやら彼は競争の意味をはき違えているようです。

    【使えなくなったら】野山に繁殖犬を捨てるブリーダー

    抱えきれなくなった繁殖引退犬を野山に捨てるブリーダーが存在するようです。

    大変、酷い話です。犬舎でご飯を定期的に与えられていた犬たちが、突然野山に放り出されて食べ物を得て生きていけるか甚だ疑問です。突然野生で生きていける犬、犬種というのは、それほど多くありません。ましてや小型犬や愛玩犬などまず無理でしょう。生まれてこの方、小型犬の野犬など経験上、見た事もありません。本当にそんな状況があるのであれば、それは許しがたいことです。

    そして、懸念するのは野犬の増加による人への被害、衛生上の問題、昭和31年(1956年)から一度も発生していない狂犬病の発生です。繁殖引退犬を野山に捨てる行為は、犬のことなど微塵も思っていない、まさに「自分のことしか考えていない」最たる行動です。

    【やっぱり】頼りにならない関係省庁

    ブリーダーが動愛法改正により、基準を満たすため繁殖引退犬を大量に処分している状況について、環境省の見解が紹介されます。

    ●環境省の回答
    ・ブリーダーがどれだけ繁殖引退犬を手放しているかデータは持っておらず現状について網羅的把握はしていない。
    ・ブリーダーは法律に従って適切に犬を取り扱うべきだと考えており引き続き指導・監督する自治体への助言を行っていく。

    完璧ともいえる縦割り回答です。行政に期待はしてはいけません。実際に大阪や長野で発生した動物虐待のような個別的な事案に関して、何もしてきませんでした。なぜ、ここまで及び腰なのかと考えます。業界団体がロビー活動(企業が政府や国際機関に働きかけをすること。自社のビジネス展開のうえで有利になるよう、政策決定に影響を及ぼしたり、ルール形成を働きかけることを言います)でも行っているのではないかと勘ぐってしまいます。

    ペット業界の市場規模は1.5兆円程度ですから、行政機関に対し、何らかの働きかけがあっても不思議はないと思います。長野で発生した悲惨な事件もいつか記事として取り上げたい内容ではありますが、この事件も行政は放ったらかしたうえ、業界関係者により被害を小さくみせるために土壇場で犬たちが持ち去られた情報もあるようです。こちらに関しては、きちんと調べたいと思います。

    【悲惨】声の出せないマルチーズ

    衝撃を受けた問題のシーン、私たちが愛するマルチーズです。

    今回のクローズアップ現代、途中、声帯を切られたマルチーズが出てきました。業界関係者「鳴き声の苦情に対応するため声帯を切るケースもある」

    どの業界関係者でしょうか。私たちは聞いたことがありません。少なくとも、マンションで飼う事が困難になり、声帯を切るという話は聞いたことがありますが、犬舎において、近所に迷惑だから繁殖に使用している犬たちの声帯を切るという、なんとも人間勝手な、身勝手極まりなり、極悪非道な繁殖屋の話は聞きません。そして、なぜマルチーズなんでしょうか。

    【ブルータスおまえもか】保護犬を餌にした保護団体の闇

    「本当に非営利なのかなって感じてるところがあります。本当に心から保護犬を助けたいという気持ちでやっている方の善意を商売に利用してしまうって形につながりかねないと思いますので」そうコメントする男性が印象的でした。

    今や立場が逆転してしまった保護団体

    保護犬や譲渡犬を家族に迎える際、年配の方だと「もらってあげる」くらいの感覚の人がいるかと思います。しかし最近ではその感覚は通じません。ここ最近の流れは、譲る側(保護団体)が上位にいます。

    最近では、保護犬を家族に迎えることを検討している方は「引き取って下さる心優しい人」ではなく、保護犬を家族として譲るに値するかどうかの審査対象です。飼うにふさわしい環境が用意できるか、家庭環境に子供がいないか、高齢ではないか、病気になったときに適切に病院を受診できる経済力があるかなど。

    当然、保護された犬たちは、今まで散々人の都合で酷い目にあってきたのですから、保護団体のほとんどの人たちは、次回こそ幸せになって欲しいという思いもあるので、審査があるのは仕方がないと思います。また生育環境が悪かった犬というのは、やはり愛情をもって育てられた犬とは違い、心身ともに問題を抱えていることが多いのが現実です。

    生まれて数か月の子犬を一から育てるのとは違い、保護犬を家族に迎えて、新しい環境で一から関係を築き、一緒に生活をすることは、かなりハードルが高いことであり、保護団体が保護犬を譲る際に、その意思や能力が本当にあるのかを審査するのは仕方がない一面があります。それは人間の子供を養子に迎える際に、2歳、3歳から躾も含めて育てるのと、15歳の成熟した子を迎えるのではまったく違うのと同じです。

    しかし、こういった状況を盾に法外な利益を求める団体がいることも私たちは知るべきです。本来、保護団体は非営利で行政に届け出しているため、譲渡する際に支払い(利益)を求めてはいけないはずですが「寄付金」は求めてもよいことになっています。

    よくわからないスキームを使って餌代や治療費、人件費を善意につけこんで支払いを求めてきます。

    保護犬譲渡にかかる費(¥204,080)

    • 寄付金 ¥150,000
    • ペットフードの定期購入
    • ペット保険への加入
    • 薬やシャンプーの購入

    営利の場合は透明性の確保や法律を守る義務があります。生体販売時には18項目の重要事項の説明がありますが、非営利の場合が適用されません。保護団体から保護犬を家族として引き取る場合はよく考える必要があります。

    ブリーダーの下で育った犬だから大丈夫と、よくわからない論理を話す人もいらっしゃいますが、間違いです。ブリーダーであろうが一般家庭であろうが愛情いっぱいに、躾もきちんとされて育った犬であれば、問題行動は起こしません。

    例えば、私たち、もりたさんちのマルチーズのマルチーズたちはいつも愛情いっぱいで、人に甘えることしか知りません。人に噛みつくといった問題行動がありません。これは簡単にブリーダーから繁殖引退犬を引き取るといいますが、これはそもそもそのブリーダーがどういった飼育をしているかでも変わってくるのです。

    【常識をアップデートしよう】アニマルウェルフェア

    アニマルウェルフェア(動物福祉)という考えがあることをご存じでしょうか。この業界にはさまざまな立場の人間が存在しますが、すべての当事者に求められること、それが「アニマルウェルフェア(動物福祉)」という考え方です。

    アニマルウェルフェアは欧州を中心に1960年代に提唱され、今日に至るまで国際的な基準および共通認識となっており「動物が肉体的・精神的に十分に健康で環境に調和していること」を指します。

    動物福祉(どうぶつふくし、英語: Animal welfare)とは、一般的に、人間が動物に対して与える痛みやストレスといった苦痛を最小限に抑えるなどの配慮により、動物の待遇を改善しようとする考えのことをいう。動物福祉(アニマルウェルフェア)は、近代以降に西洋で生まれ、家畜動物を対象として大きく発展した概念である。

    Wikipedia「動物福祉」より

    アニマルウェルフェア(動物福祉)とは、生まれてから死ぬまでの動物の身体的・心的状態を意味します。「動物の権利(アニマルライツ)」とよく混同されますが、アニマルウェルフェアは家畜利用を認め、アニマルライツは家畜利用を否定するという違いがあります。また、“かわいそう”という人間の感情に基づいて動物を保護する「動物愛護」とも異なります。人間の感情も直接は関係ありません。

    朝日新聞SDGs ACTION!「アニマルウェルフェアとは」より

    アニマルウェルフェア(Animal Welfare・家畜福祉)とは、感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な暮らしができる飼育方法をめざす畜産のあり方です。
    近代的な集約畜産は国民の食を支えてきましたが、生産効率を重視した品種改良や、大量の濃厚飼料を与えた飼育管理などによって、家畜に過度の負担を強いてきた実態があります。世界に目を向けると、そうした畜産のあり方を反省するなかで「5つの自由」の原則が提唱され、実践が重ねられています。

    アニマルウェルフェア畜産協会「アニマルウェルフェアとは?」より

    アニマルウェルフェアの基本原則「5つの自由」

    • 空腹と渇きからの自由
    • 不快からの自由
    • 痛み損傷・疾病からの自由
    • 恐怖と苦悩からの自由
    • 正常行動発現からの自由

    この「アニマルウェルフェア」という言葉については、馴染みのない方がほとんどだと思います。一点だけ、この考えについて押さえておくポイントがあるとすれば「動物の権利(アニマルライツ)」とは違う考え方であるという点です。

    アニマルウェルフェアは家畜利用を認める考え方であり、対象が犬や猫だけではないという点も押さえておく必要があります「可愛い」「可愛くない」「かわいそう」ではなく、すべての動物を大切に考えていくという、観点を忘れてはいけないと思います。

    まだまだ古い常識の人は多い

    先日、私に犬を家族に迎えた話をしてきた方がいらっしゃいました。その方は「先日、子供が子犬を欲しがりまして、ティーカッププードルを80万円ほどで買いました。その子犬は4兄弟で、一番高い値段がついていた子は140万円もしたんですよ」続けて「最近は犬は家の中で飼うんですね、私の子供の頃は外で犬小屋を置いて飼うものでしたが」

    私はこう返しました「犬は家の中で飼うものですよ。ゴールデンレトリーバーのような大型犬でも家の中で飼うものです。最近では常識です」

    やはり多くの人の常識はまだまだアップデートしていかなければいけないのかもしれません。寒空の薄暗いガレージに鎖で繋がれた犬を観ると、なぜこんな目に合わせてまで犬を飼うのだろうかと、思ってしまう自分がいます。もはや家に入れることもできず、かといって他に飼ってくれる人を探すのも面倒。まさに身勝手、こういう人のことを「飼う資格がない」そう思います。

    【唯一の望み】海外はいま

    EU(European Union:欧州連合)に存在する所謂(いわゆる)ペット先進国では、日本では考えられないような犬や猫の販売に対する規制があたりまえのようにされています。

    海外の規制

    • ドイツ
      飼育環境に厳しい基準を設ける
      ペットショップでの犬の販売を抑制
    • フランス
      ことしからすべての犬や猫のペットショップでの販売を禁止
    • イギリス
      生後6か月未満の犬や猫のペットショップでの販売を禁止

    例えば、ドイツでは飼育環境に厳しい基準を設けることでペットショップでの犬の販売が抑制されています。またフランスでは2024年から保護されたものを除く犬や猫のペットショップでの販売が禁止されました。

    では日本ではどうでしょうか。

    日本ではようやく、政府が重い腰をあげて規制に乗り出した、その段階です。しかし過去の事例をみても、日本は常にこういったEUの後追いではあるものの、必ず追随してきました。

    例えば、世界の気候変動に伴う温室効果ガス削減への取り組み、GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)のような企業に対する個人情報の取り扱い、EV(Electric Vehicle:電気自動車)義務化など、EUの日米への思惑(Googleやトヨタ)もあるかとは思いますが、この動物愛護推進(規制強化)の流れもEUが主導となり、遅れた日本をけん引してくれれば、きっと日本も近い将来、EUのように犬や猫がペットショップで販売禁止にされる日が来ると思います。しかもそれはそう遠い話ではありません。

    そうなれば当然のことながら、ペットショップの前にペットオークションに規制が入ることは必至です。いうなればペットオークションは斜陽産業のようなものです。もしそういった未来がみえるのであれば、日本の犬や猫の未来は明るいものであると言えます。

    総括部分では日本特有の文化に対する指摘もありました。日本の場合、問題点として「ブームが起これば特定の品種(大谷翔平選手が飼い出したコーイケルホンデュエにも見られる)の動物を皆が飼いたがるというような現象がパピーミル(子犬工場)のような業者を助長してきた」です。

    確かに指摘されるように、考え直さなければいけない部分があるのは事実です。しかし問題の本質は「皆が飼いたがることが問題の本質」ではなく、流れに乗って大量に繁殖を始める自称ブリーダーの存在が根本的な問題であると思います。人気選手が飼い始めた犬が可愛くて、私たちも同じように飼いたい、そういった人たちに責任を擦り付けるのではなく、あくまでパピーミルが問題の根本であると思います。

    終生飼養の緩和

    政府はブリーダーへ繁殖引退犬の終生飼養緩和を決めました。この緩和が良いことか、悪いことかは別として、目的は繁殖引退犬が幸せに残りの余生過ごすこと。ブリーダーの下で檻で過ごすよりは、新しい本当に必要としているご家族のもとで、リビングを走り回る方が、幸せなのではないかと思ってしまいました。

    まとめ、そして後編へ

    いかがでしたでしょうか。前編ですが、ずいぶん長くなってしまいました。途中、私自身も調べものをしながらの制作となりました。全体的に放送や業界に対する批判的な内容(批評)となりましたが、やはり根底にあるのは、業界全体が少しでも良い方向へ向かうことであり、アニマルウェルフェアの考えが浸透し、一頭でも多くの犬たちが人と幸せに暮らせるような世界が実現できればと思います。

    また、私たちもブリーダーとして、同業者との相互監視を強め、多くの愛犬家に見守られていると認識し、私たちのマルチーズが一頭でも多く幸せに、ひとりでも多く幸せな人が増えるように尽力していきたいと思います。

    後編は、私たちが知っている業界の現状や今後どうなっていくべきか、未来への展望、そしてもりたさんちのマルチーズが向かうべき未来と模索といった内容でお送りできればと思います。

    今後の予定

    当犬舎のケイツ(女の子)ですが、問題がなければ3月中旬の出産を予定しております。本予約はその時期から受付を開始する予定にしております。仮予約を済ませていらっしゃる方で、気になる方がいらっしゃいましたら、どうぞお問い合わせ下さいませ。どうか良いご縁がございますように。

    今回はこんなところで

    ブログは毎週末の更新を目標としております。記事の共有や拡散をしていただけると読む人が増えて励みになります!どうぞ応援よろしくお願いします!

    全世界がマルチーズで繋がりますように。