コーイケルホンディエ
吐く息は白くなり、朝夕の冷え込みが身に染みる時節となってまいりました。もりたさんちのマルチーズです。皆さま、体が資本です。どうか体調には十分に気を付けてお過ごし下さいませ。
最近のお問い合わせ状況
特筆することはございません。お問い合わせお待ちしております。
最近のもりたさんちのマルチーズ
昨日、25日に当犬舎のアンナ(女の子)の黄体ホルモン検査(プロジェステロン検査)を受けてきました。今回は、より踏み込んだ検査を行うため、普段からお世話になっている、かかりつけの動物病院とは違う、京都府外の動物病院を利用しました。最初のヒート開始日(人でいう生理にあたるようなものです)から1週間後に検査を受けたのですが、なんとその日がドンピシャの排卵日で、念のため連れて行っていたアンディ(男の子)と急きょ、交配を行なうことになりました。
以前、かかりつけの動物病院で検査を受けた際は、ヒート開始日から11日目に排卵日が訪れていたのですが、今回は非常に時期が早くて大変驚きました。しかし、担当された獣医師曰く「今回は7日目に排卵が起きましたが、実は今日が排卵初日であり、これから数日して卵子が成熟するのかもしれない。前回11日目に適正な数値が出たのは、排卵から数日経過しており、交配にはギリギリの日だったのかも」ということでした。納得です。
富士フィルム VS. バイダス
マニアックな話になりますが、黄体ホルモンの検査に使用する機械は、富士フィルム社製とビオメリュー・ジャパン社製があります(もちろん、その他もあります)。
検証結果から富士フィルム社製は正確な数値が出ない場合があり、信頼性に欠けると思っています(約1週間、富士フィルム社の製品とビオメリュー・ジャパン社のミニバイダスで、同じ個体で同時に血液検査を行ったところ、富士フィルム社の数値結果が、基準値より低かったり、高かったり、安定しないことがあり、交配適期の予測が建てられないケースが発生しました)
今回は、全国の数多ある動物病院において、交配を専門分野としており、ミニバイダスを持っているかどうかを基準に、ひとつひとつ、直接、動物病院に電話をかけて聞き出し、受診してきました(なかなか大変でした)。
京都の状況
私たちが知る限り、京都で交配を専門分野としており、バイダスの検査機を利用して、黄体ホルモン検査を行っている動物病院は存在しませんでした。また普段から利用している、私たちのかかりつけの動物病院は、過去にバイダスを利用していたが、検査薬が手に入りにくいので現在は富士フィルム社の製品を取り扱っている、ということでした。
今回、検査を担当して下さった獣医師曰く「犬の乱繁殖が問題になっているにも関わらず、繁殖技術に関しては、日本は後進国です」と仰っていたのが印象的でした。
膣スメア検査
ホルモン検査以外の交配適期を探る方法のひとつに、膣スメア検査があります。膣スメア検査は実際に、膣の細胞を採取し、電子顕微鏡で細胞核の変化を確認して交配適期を特定します。しかし、スメアのような経験に基づいて排卵日を予測するような、いわば職人のような方法はあくまで、参考程度の情報に留め、黄体ホルモン検査という、より科学的なアプローチを続けたい思っています。
今回の交配が意味するもの
今回、アンナとアンディの交配は、2年近く準備を続けてきた私たち、もりたさんちのマルチーズにとっても、非常に大事なものでした。
それ故に交配を専門にされている数少ない動物病院で(前回、京都の動物病院で調べてもらいましたが、精子の質までは調べていませんでした)アンディの精子の検査(精液量、精子の濃度、運動率、奇形率)から、アンナの血液検査まできっちり、しっかり調べてもらいました。
目的の動物病院までは京都から高速道路を利用して片道2時間と、かなり遠方で、完全に休日がなくなってしまいました。検査費用も子犬が1頭、家族にお迎えできるほど、かかってしまいましたが、これからの犬舎の将来や、発展にはかかせない内容であったと思っています。
今回、担当してくださった獣医師には、今後、私たちがチャレンジしようと思っていることを熱く伝えさせていただきました。「海外の優秀なマルチーズの精子を凍結保存で輸入したい」そして、その際の交配に協力して欲しいという想いでした。しっかり受け止めていただきました。ありがとうございます。
結果は年末
アンナの妊娠が判明するのは約1か月後、年末ですね。祈るばかりです。今はアンナに少しでも栄養を取ってもらうため、大好物のK9ナチュラル以外に、血がしっかり作られるよう、手作り食も併せて食事させています。
コーイケルホンディエ
さて前置きが長くなってしまいましたが、今回のお題は「コーイケルホンディエ」です。皆さん、コーイケルホンディエと聞いて、何のことかご存じでしょうか。当犬舎のホームページには、根っからのマルチーズ好きしか集まりませんので、もしかしたら、知らない人が多数いるかもしれません。
もちろんニュースになったので知っている人もいると思いますが、メジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手が、最近、飼い始めた犬が、この「コーイケルホンディエ」という犬種です。
Wikipedia「コーイケルホンディエ」より
コーイケルホンディエを専門に繁殖している犬舎は日本では非常に珍しく、犬舎を探してみると、やはり大谷効果で、今や2年以上待たないと家族に迎えられないようです。しかし、この状況をみてやはり節操がない、と言わざるを得ません。
コーイケルホンディエの歴史や血統、気性、特徴、飼いやすさ、その犬種が持つ罹患しやすい病気、疾患、遺伝病など、良く調べて飼おうと思ったのでしょうか。そんなはずはないですよね、大谷選手が飼ってる犬が可愛いので、私たちも飼いたい、ということでしょう。本当の子供であればいざ知らず、大の大人の動機がそれでは、子供と同じです。そして、ペットショップで衝動買いする人たち、それと同類であると、苦言を呈します。
大谷選手が、仮にマルチーズを飼い始めたとなれば、皆がマルチーズを買い求めるのでしょうか。そうであれば本当に残念です。
当犬舎のホームページに訪れる方は、マルチーズが好きで検索してきた方が大半かと思うので、大丈夫なのですが、今回のニュースをみて、やはり私たちと同じように心配や危惧をされている方がいらっしゃるようです。ちょっと考えさせられるニュースではありました。
コーイケルホンディエに関するニュース
大谷選手の犬「コイケル」人気で「悪徳ブリーダーの増加」「育てられず飼育放棄」懸念の声がSNSで続々(まいどなニュース) | Yahoo!JAPANニュース
大谷翔平フィーバーのウラで危惧される愛犬・コイケル種に近寄る、悪徳ブリーダーの“魔の手” | au Webポータル芸能ニュース
今回の件で、当たり前ですが大谷選手は関係ありません。心配なのは、これが飯のタネになると、コーイケルホンディエの繁殖を始める、犬種に対して、まったく尊崇の念を持たない自称ブリーダーが増えることです。
マルチーズを含め、純血種というのは、自然発生的に増えていくものではありません。
誰かの努力によって維持されてきています。過去には人気がなかったために、惜しまれつつ消えていった犬種が多数存在します。犬が飼いたければ保健所に行って保護犬を、という極端な考えを持つ方もいらっしゃいますが、なんとなく犬が飼いたいのではなく、最古の愛玩犬であるマルチーズを家族として迎えたい方はどうすればよいのでしょうか。マルチーズが保護されるまで待つのでしょうか。理解に苦しみます。
仮に(なぜか、毎日、信じられないほどの数の牛や豚や鳥や魚がお金で売買され、時には捨てられているということには目を向けず)犬という生き物の販売が禁止され、皆が保護犬を家族として迎え始めれば、紀元前1500年前から存在するマルチーズという純血種はいとも簡単に消えていくでしょう。
日本で野犬が放置されているような状況であればいざ知らず、マルチーズは放っておいても、勝手に男の子と女の子が適正な時期に出会って、子犬が増えるようなことはありません。或いは、わざわざ自分の大切な家族であるマルチーズのお腹を痛めて、死のリスクを天秤にかけても、誰かのために無償で子犬を出産をさせるなど、そんな奇特な飼い主さまはいらっしゃいません。どこかで痛みを伴い、悲しみを経験して、増やす努力をしてきた人たちが存在するのです。綺麗ごとでは済まされません。
そういった側面を鑑みれば、今回、コーイケルホンディエという犬種が再認識され、人気が上がり、国内で増えていくことは喜ばしいことだと思います。しかしそこにはその犬種に対する歴史や血統、純血種を維持してきた人たちに対する敬意を忘れてはならないのです。
今後の予定
最初のほうで、ご説明させていただきましたが、アンナの妊娠が判明するのは年末です。もし無事に妊娠しておりましたら、出産は1月末ということになります。どうぞよろしくお願いします。
今回はこんなところで
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次回は、最近、息子がとんでもないことを言い出したので、それをネタにしたいと思っています。
全世界がマルチーズで繋がりますように。