ブリーダーを信じるな

寒さが深まり、京都の街には冬の静寂が漂っています。朝夕の冷え込みが一層厳しくなる中、吐く息が白く染まり、季節の移ろいを感じる2月初旬。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。もりたさんちのマルチーズです。
お正月に家族や親戚と集まり、にぎやかな時間を過ごした方も、1月の慌ただしさを乗り越えて、少し落ち着いてきた頃ではないでしょうか。私自身は、妻と子どもたちが帰省している間、昨年11月30日にケイツが出産した子犬たちの面倒を見ながら、新年を迎えました。お年玉を配ることも、お餅を食べる機会もありませんでしたが、皆さまの楽しいお正月の様子を聞くと、思わず心が和みます。
そして、あっという間に2月に入りました。子どもの冬休みが終わり、学校の準備や仕事に追われる日々が戻ると、気持ちがぐっと引き締まります。新年に立てた目標や抱負を改めて振り返りながら、「もっと多彩な取り組みに挑戦していきたい」という思いを強くしています。ひとつひとつ着実に取り組むことが、未来につながると信じています。
今年は、皆さまにより役立つ情報や、マルチーズとの暮らしの魅力をたくさんお届けできるよう、頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
はじめに
もりたさんちのマルチーズは、「千年の都」京都で、世界最古の愛玩犬として知られるマルチーズを専門に扱う犬舎を運営しています。紀元前から人々の暮らしに寄り添い、愛や幸せを届けてきたこのマルチーズこそ、世界に平和と調和をもたらす存在だと信じています。
私たちは自信を持って断言します。もりたさんちのマルチーズで誕生する小さな命は、混じり気のない、本物の純血種マルチーズだけ。揺るぎない血統を守り続けることこそ、私たちの誇りです。その背景には、長年にわたる経験とマルチーズへの深い愛情があります。一頭一頭が持つ無限の可能性を大切にしながら、彼らが人々に笑顔をもたらし、幸せな絆を築いていけるよう努めています。
40年以上にわたり、300頭以上の命の誕生に立ち会ってきた私たちは、常にマルチーズの健康と幸せを最優先に考えてきました。その美しさと温かな性格で多くの飼い主さまに愛されてきたマルチーズ。本来の魅力を守り、次の世代へとつないでいくことが、私たちの大切な使命です。
「ひとりでも多く、幸せな飼い主を。一頭でも多く、幸せなマルチーズを。」
この経営理念を胸に、これからも皆さまに喜んでいただけるよう、日々努力を重ねてまいります。

最近のお問い合わせ状況
お問い合わせ状況に特筆すべき点はございません。引き続き、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
最近のもりたさんちのマルチーズ
私たちは、業界の最先端を常に意識しながらアンテナを張りめぐらせ、実際の現地調査だけでなく、WebサイトやYouTube、SNSを通じたリサーチも積極的に行っています。そうした中で目に留まったのが、昨年までフレンチブルドッグを専門にしていた、あるブリーダー兼YouTuberの廃業でした。一部の飼い主さまの意識の低さに対する苦言や、保護犬への否定的な意見を発信し、場合によっては再生数稼ぎと誤解されかねない手法で注目を集めていた人物ですが、同業者としては歯に衣着せぬ物言いに共感できる部分もありました。しかし、最近になって私の中で彼に対する評価が少しずつ変わり始めました。
彼は以前、アフィリエイトでも取り扱われる「モグワン」というドッグフードを推奨していましたが、数か月前から別のフードを紹介するようになりました。私たちは基本的に、アフィリエイトで扱われるフードに良いものはないと考えていますが、どのフードを薦めるかはブリーダーの方針次第ですので、その点を批判するつもりはありません。問題だと感じたのは、動画内のコメント欄で「概要欄のリンクから買ってね」と強調し、以前の「モグワン」推奨時と同様、露骨なリンク誘導を行っていた点です。
少し考えればわかることですが、そのリンクを経由して購入されると、彼に利益が入る仕組みになっています。本来、ブリーダーは信頼を基盤とする仕事のはずです。にもかかわらず、利益重視にしか見えない、節操のない販売手法は、ファンや飼い主さまの信頼を損なうのではないかと思いました。そう思うと、彼がブリーダーを廃業したことも、今となっては妥当な判断だったのかもしれません。

一方で、私たちはドッグフードに関して、一貫して同じものだけを勧めています。私たちがお薦めしているニュージーランド産のプレミアムフードは、確かに一般的なフードと比較すると高額ですが、当犬舎のマルチーズたちにも与えており、彼ら自身が本当に美味しいと感じ、心身共に豊かで健康的な生活を送れると実感しています。品質に納得できるフードだけを扱う方針のため、もしフードを変えてしまうと、私たち自身のアイデンティティまでも失ってしまうように思えてなりません。
また、購入時には、私たちの会員制WEBサイトからでも買うことができますが、それはあくまで一つの選択肢です。もちろん、WEBサイトをご利用いただくと多少の利益は発生しますが、販売にかかる手間やコストを考えると、正直なところあまり効率的とは言えない面もあります。契約上、定価販売しかできないため大幅な割引はできませんが、それでも会員制にすることで、ほんの少しお得に提供できるよう工夫しているのが実情です。
私たちがフード販売で利益を追求していないのは、近隣でおすすめのフードが手に入らない飼い主さまをサポートしたいからにほかなりません。信頼がなければ成り立たないこの仕事では、信頼を失うことは即ち廃業を意味します。だからこそ「売りっ放しにしない」姿勢を貫き、子犬を引き渡して終わりにせず、フード販売を通じてアフターケアを続けていきたいと考えています。
新たな取り組み「FUJI SAN SUI」

現在、私たちは新たな取り組みとして、マルチーズたちに与える水を天然水に切り替える計画を立てています。これまでは水道水をろ過して与えていましたが、よく考えてみると、私たち自身も水道水をそのまま飲むことはほとんどありません。お茶を淹(い)れるときも、そのままではなく、一度しっかり沸かしてから使うのが当たり前になっています。
もちろん、日本の水道システムは世界に誇れるほど優秀だという意見もあります。一方で、地域によっては施設や配管の老朽化が進み、いつ破損してもおかしくないと指摘されることも事実です。また、配管の状態次第では、さびや汚れが混入するリスクが皆無とはいえません。消毒に用いられる塩素や金属成分などが基準値以内であっても、においや味を気にする方も多いようです。
さらに、大規模災害や断水の後には、水道管の破損や微生物の混入など、予期せぬトラブルが発生しやすいといわれています。浄水場で安全性が確認されていたとしても、家庭に届くまでの過程で何が起こるかは誰にも分かりません。そう考えると、より安全で信頼できる水を選ぶことは、大切なマルチーズたちの健康を守るうえで欠かせない取り組みだと感じています。

人間も犬も、体の大部分が水で構成されている以上、水の質を見直すことはとても大切だと感じました。そこで、市販されている天然水の中でも、安心して飲めるものを選びたいと考えたのです。毎日飲むものだからこそ、少しでも安心で、美味しく、新鮮な水を常に与えたいという思いがあります。
ただし、天然水には軟水と硬水があります。硬水はミネラルが豊富な反面、尿路結石のリスクが高まるといわれているため、今回は海外産ではなく国内産の軟水を選ぶことにしました。現在検討しているのは、非加熱製法でボトリングされる「FUJI SAN SUI」という天然水です。まずは私たち自身が飲んでみて、安全性や味をしっかり確認したうえで、犬たちにも与えてみようと思います。
また夏場は特に、塩素消毒されていない天然水が腐りやすいことを考慮し、大容量のペットボトルではなく1日で飲みきれるサイズを購入し、余った分は専用の冷蔵庫へ保存する計画も立てています。
もっとも、子犬が新しいご家族さまのもとへ迎えられた後は、食事や水について「ああしてください」「こうしてください」と細かく指示するつもりはありません。各ご家庭にはそれぞれの方針があるはずですし、私たちはそれを尊重したいからです。ただ、当犬舎にいる間だけでも、最高のフードと水を用意して、親犬や兄妹たちとギリギリまでのびのび過ごしてほしい。その願いこそが、今回の取り組みを始める原動力になっています。

ブリーダーを信じるな
昨年、2024年2月15日に環境省が全国のブリーダーを対象に行った調査結果が報告されました。
ペットオークション・ブリーダーへの一斉調査結果について|報道発表資料|環境省
この調査は、令和5年11月に環境省が都道府県や政令指定都市を通じ、ペットオークション業者やブリーダーの法令遵守状況を確認する目的で実施されました。その結果、多くの犬や猫の生年月日に改ざんの疑いが見受けられ、全国に存在する約1400のブリーダー事業所のうち、約半数で法令違反が確認される事態となりました。現在、違反が認められた事業所に対しては、各自治体が個別に指導や監督を行っており、環境省も業界全体に対し改ざん防止の徹底を求めると同時に、制度自体の見直しを検討していると報告されています。
では、なぜこのような大規模な調査が実施されるに至ったのでしょうか。そのきっかけは、令和5年秋に環境省がマイクロチップの登録情報を精査した際、一部のブリーダーで犬の生年月日の曜日に不自然な偏りがあるケースを発見したことにあります。通常であれば偶然の範囲に収まるはずのこの偏りに対して「偶然とは考えがたい」と問題意識が高まり、動物愛護法第22条の5に違反している可能性が指摘され、より詳細な調査が急務と判断されました。
こうした経緯を受け、環境省は令和5年11月から、都道府県や政令指定都市を通じて全国のペットオークション運営業者やブリーダーに対して本格的な調査を開始しました。具体的には、環境省が提供した「生年月日の曜日に偏りがあるブリーダー」のリストをもとに、各自治体が調査対象を選定し、ペットオークション業者に対する調査は11月22日に、ブリーダーに対する調査は11月23日から12月8日にかけて実施されました。
この一連の調査を通じ、ペット業界に潜む不透明な部分やルール違反の実態が改めて浮き彫りになりました。環境省はこれを契機に、業界全体の健全化と透明性の向上を目指す方針を強く打ち出しています。私たちも、こうした情報に目を向けることで、どのような環境で育った犬や猫を迎えるべきか、より慎重に考える必要があると感じさせられる状況です。

素朴な疑問「なぜ」
なぜ、一部のブリーダーは子犬の生年月日を改ざんするのでしょうか? その背景には、利益を最優先する拝金主義が根底にあります。現在の法律では、子犬は生後56日を経過しないと販売できないと定められています(8週齢規制)。しかし、市場を見渡せば、生まれて間もない子犬ほど高値で取引されるのが現実です。子犬は成長が早く、できるだけ幼いうちに迎えたいという心理が、需要をさらに押し上げています。
そんな中、拝金主義のブリーダーたちは、こう考えるのです。
「若いほど高く売れる? ならば、書類の数字をちょっといじればいい。まだ生後7週でも、書類上は8週を過ぎたことにすれば、すぐに販売できる!」
「売れ残りが出てきた? これはまずい。生後3か月を超えると値が下がるから、出産日を書き換えよう。ちょっと手直しするだけで、まだ生後2か月ってことにできるじゃないか!」
このような手口がまかり通る背景には、犬舎の情報を公開せず、マッチングサイトでは表向き真面目に運営しているように見せかける一方で、売れなかった子犬をオークションやペットショップへ卸してしまう業界の構造があります。購入希望者には「良質なブリーダー直販」と謳いながら、実際には利益を最優先し、売れ残りを次々と流通させているのです。この仕組みのもとでは相互監視が働かず、生年月日すら「高く売るための道具」にされてしまうのです。
こうした現実を知れば、「子犬の生年月日」という情報が、必ずしも信用できるものではないことがわかるのではないでしょうか。

調査結果から見えてくるブリーダー業界の実態
全国のペットオークションで取引される犬や猫に関して、生年月日の改ざんが疑われるケースが相次いだことは、業界全体に潜む深刻な問題を如実に示しています。令和5年に実施された調査では、全国約1400のブリーダー事業所のうち約半数で法令違反が確認され、単なる個別の問題に留まらず、業界全体の健全性が問われる事態となっています。
調査の中で実施されたアンケートからは、動物取扱業者として最低限守るべき基準すら満たしていないブリーダーが少なくない現状が浮き彫りになりました。たとえば、以下の点が問題として指摘されています。
・犬の健康管理に必要な感染症予防や治療がなされていない
・飼育頭数や繁殖回数、出生記録などが適切に管理されていない
・母犬の健康状態に対する配慮が欠け、無理な出産を繰り返している
こうした管理体制の不備は、犬たちの健康と安全を大きく脅かしているだけでなく、業界全体への信頼をも失墜させる要因となっています。こうした一連の問題は、ブリーダー業界の健全化や透明性の確保が急務であることを示しています。業界全体の信頼回復と、犬たちの安全な育成環境の確保のためにも、今後の取り組みが一層求められる状況です。
利益優先の販売手法が浮き彫りに

近年、大手マッチングサイトを活用した子犬販売の裏側に、利益優先の手法が浮かび上がっています。一部のブリーダーは、ペットオークションに出品する前の「前哨戦」ともいえる戦略を巧みに利用しています。まず、大手の子犬マッチングサイトに子犬を掲載し、一定期間予約を募ります。そこで市場の反応を探り、需要を把握した上で、タイミングを見計らって本番のオークションに出品するという流れです。
この手法は、あたかも戦略的に戦いの序盤を準備しているかのような印象を与えます。掲載された価格はあくまで仮のものであり、売れ残れば「商品価値」が下がったと判断され、掲載を取り下げるのです。まるで試合前の前哨戦で結果を見極めるかのような手法ですが、命を扱う現場でこのような利益優先のアプローチを採用する姿勢は、決して肯定できるものではありません。
実際、大手子犬マッチングサイトに掲載されている「マルチーズ」の子犬の中には、プロの目で見れば純血種とは到底言えない個体も紛れ込んでいます。血統書の内容が改ざんできる以上、犬種に詳しくない消費者にとっては、外見や表記だけで判断されがちであり、純血種と信じて迎えた犬が実際にはそうでなかったというリスクは無視できません。販売手法の裏に潜むこの不透明な戦略は、業界全体の信頼を大きく揺るがす問題であると考えられます。
「ブリーダーを信じるな」という警鐘
こうした調査結果を見れば、「ブリーダーなら大丈夫」と安易に信じるのは危険だといわざるを得ません。表向きは「きちんと管理している」とアピールしながらも、実際には犬の健康や安全を後回しにしているブリーダーが少なくないのが現状です。
環境省の調査によれば、違反が確認されたブリーダーに対して以下の指導が行われました。
<指導等の内訳>
・口頭指導367件
・文書指導264件
・文書指導(予定)39件
・勧告1件
・勧告(予定)1件

この結果を見て、「これだけの問題があるのに、勧告が2件だけ?」と感じる方もいるかもしれません。これで業界全体が改善されるのか、不安が残ります。
飼い主として、何を見極めるべきか?
これからマルチーズを迎えようとしている方は、以下の点に特に注意してください。
・ブリーダーが正確な情報を公開しているか
・親犬の健康管理が徹底され、定期的な健康チェックが実施されているか
・価格が極端に安くなく、相場と照らし合わせて適正かどうか
これらの点をしっかりと確認し、慎重に判断することが重要です。皆さまは、安いマルチーズが本当に欲しいとお考えでしょうか? マルチーズは20年近く生きるものもいます。20年もの長い付き合いの中で、一瞬かかる費用を気にして、大切なパートナーとして迎えるマルチーズの本来の価値を下げるのでしょうか。先ほど、オークションの前哨戦についてお話ししましたが、ペットオークションの相場を熟知しているブリーダーは、マッチングサイトにペットオークションの相場を持ち込みます。その結果、マッチングサイトに掲載される純血種のクオリティがペットオークションの相場レベルに下がります。
私たちも、この調査結果を他人事とは考えていません。母犬の健康を最優先に考え、計画的に出産させるよう努め、栄養バランスに優れたフードを与え、獣医師による定期的な健康チェックを実施しています。また、可能な限りブログやYouTubeを通じて、実際の飼育環境やマルチーズたちの成長の様子を公開することで、安心していただける環境づくりに努めていきます。
まとめ
「ブリーダーを信じるな」という言葉には、業界全体への警鐘とともに、私たち自身が常に誠実なブリーダーであり続けるための戒めも込められています。一頭でも多くのマルチーズが幸せに暮らし、飼い主さまが笑顔になれるよう、私たちもこれからも真摯に活動を続けていきます。
今後の予定

昨年11月30日にケイツが出産したマルチーズたちは、あっという間に元気に育っています。まず、嬉しいニュースとしてお伝えすると、2月2日には長女が新しいご家族に引き取られ、新たな門出を迎えました。次回以降の記事では、その時の様子を余すところなくご報告できるよう、楽しみにしていただければと思います。
現在、残る子犬たちは生後9週を過ぎ、あと数日で生後10週に達します。毎日、子犬たちの健やかな成長を見守る中で、彼らがこれから迎える新生活への期待が一層高まっているのを実感しております。ちなみに、1月27日にはワクチン接種が無事に行われ、遺伝子検査も問題なくクリア。今もなお、体調の変化に細心の注意を払いながら、元気な様子を確認しています。
さらに、子犬たちは今月中にも新しいご家族の元へ旅立ち、待望の新生活をスタートさせる予定です。そのため、社会化やメンタルの強化、さらには「もりたさんちのトイレメソッド」を実践するなど、新しい環境にスムーズに馴染めるよう、着実に準備を進めております。
一方、今年初めに投稿した記事からあっという間に時が過ぎ、私たちは犬舎の工事やブログ、動画制作、新しいご家族向けの契約書の準備といった多岐にわたるプロジェクトに取り組むことにしています。正直なところ、毎日「このままではやばい」と焦燥感を感じながらも、まずはブログ記事を仕上げ、その後に動画制作へとタスクをこなす忙しい日々を送っています。
実は、この記事の作成にも1月中旬から着手し、何度も構成を練り直しては打ち崩し、再構成するという苦労がありました。冒頭の時候の挨拶すら、季節感に合わなくなって何度か書き直す羽目に。そこで今年は、一記事完成するたびに過去の投稿も見直し、改良を加えることにしています。
このように、忙しさの中にも愛情と情熱を込め、マルチーズたちの成長と、安心できる飼育環境の実現に全力を注いでいます。今後とも、皆さまに温かく見守っていただけるよう努めていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今回はこんなところで
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全世界がマルチーズで繋がりますように。