子犬の価格について

    子犬の価格について

    最近のお問い合わせ状況

    先日は、福岡の方からご予約がございました。遠方にもかかわらず誠にありがとうございます。

    最近のもりたさんちのマルチーズ

    最近、インターネットでキーワード「マルチーズ」「ブリーダー」でGoogle検索すると、もりたさんちのマルチーズがかなり上位に表示されるようになってきました。嬉しいです。ブログもより一層、力を入れて更新していかなくては、と意気込んでいます。アンナは近日中に良いご報告ができると思います。楽しみにお待ちください。

    アンディ(男の子)通称:デン助(2023年2月/もりたさんちのマルチーズ)
    アンディ(男の子)通称:デン助(2023年2月/もりたさんちのマルチーズ)

    そのマルチーズ、おいくらですか?

    今回のテーマは「子犬の価格」です。ちらほらと、お問い合わせがあるので説明させていただきます。もりたさんちのマルチーズはマルチーズ専門の犬舎です。にもかかわらず、ホームページのどこを探しても、マルチーズ(生体)の販売価格が記載されていません。こちらに関しては、記事後半の「もりたさんちのマルチーズのポリシー」で説明させていただくとして、どうしても予約時に気になるのが、実際に必要になる金額かと思います、当然です。皆さまの思うマルチーズの価格っておいくらくらいでしょうか。

    現在の市場価格(2023年2月)

    マッチングサイトの場合

    みんなのブリーダーを始めとする大手マッチングサイトを調査しました。現在(2023年2月時点)のマルチーズの市場価格は、生体のみで30万円~80万円(税抜き)といったところでした。極小マルチーズだから〇〇〇万円!(超高額)などと設定されていたりするケースもありますが、当然、母犬も小さかった(そもそも繁殖に向かない)のだろうなと思うと、難産だったんじゃないか、無理させたんじゃないかと複雑な気持ちになります。

    JKC(ジャパンケネルクラブ)が定めるマルチーズの標準犬種(スタンダード)の大きさ、体重をご確認下さい。

    こちらを見るマルチーズ

    ●体高
    ・牡:21cm~25cm
    ・牝:20cm~23cm
    ●体重
    3kg~4kg

    そもそも論になりますが、この標準犬種(スタンダード)から外れているわけです。「極小」をアピールポイントに、生体の金額を吊り上げる行為は、あまり褒められることではありません。また「極小」のマルチーズを求めることも、母犬の負担や、子犬の脆弱な健康状態を考えても決してお薦めはしません。

    ペットショップの場合

    ペットショップの場合、生体価格以外に生命保障や、お引渡し後のサポート費用、ドッグフードをはじめとするグッズの割引きなど、様々な追加のオプションをサービスとして用意しています。これらのオプションを巧みに組み合わせ、松竹梅のグレードに分けたプランとして、生体に附帯させて販売しています。

    一見、生体価格が安く見えますが、それこそがペットショップの思惑通りであり、いざ交渉を始めると、本来であれば任意加入であるはずのプランが、半ば強制的に加入を薦められることになります(大手ペットショップにおいて「プランに加入しないと生体を販売できない」という抱き合わせ販売を求められるケースは、枚挙にいとまがありません)。最終的に、いや結局というべきでしょうか、非常に高額な支払いを求められるのがペットショップの特徴です。

    私の知り合いは、大手ペットショップでトイプードルを総額80万円以上で家族に迎えておりました。トイプードル自体に、その価値があればもちろん納得がいくのですが「追加のプランで30万円以上支払った」と聞くとなんだかモヤモヤしてしまいます。

    ●あるペットショップの日常(2023年2月)

    ホームセンターで展示販売されるマルチーズ

    生体の価格は約30万円(安心パック・ワクチン・保険など別途かかります、の注意書き有り)ペットショップでは自家繁殖は行っておりません。おそらくペットオークションもしくは契約しているブリーダーから仕入れていると思われます。仕入価格は10万円~15万円と予測します。わずか15万円弱でペットショップに卸しているブリーダーがまともな犬舎の運営をしているはずもありません(ペットショップで子犬を家族に迎えることを検討する場合は、必ず便の検査を受けましょう。かなりの確率でジアルジア症(寄生虫)に感染しています)。

    どう安心なのか不安しかありませんが、安心パック8万円を加え、総額約46万円。幸せな家族に迎えられる事を祈るばかりです。

    30年前~40年前

    30年前~40年前は、ペットショップで子犬を買うという方法以外に、ブリーダーから直接、子犬を譲ってもらうという方法は、どちらかというと敷居が高く珍しい方法でした。当時はブリーダーを探す方法はもっぱら地方新聞や地域紙(ローカル新聞)などの、小さな個人向けの広告枠くらいなものであり、当然ながらインターネットなどはなく、情報が得られない状況の中、どこに良いブリーダーがいるのかまったくわからない状況でした。

    当時は、そもそも子犬はペットショップで買うもの、という感覚の人が圧倒的に多く、親犬のことや繁殖の背景にまで興味を持つ意識の高い人は皆無でした。しかし時が経つにつれ、少しずつ状況は変わっていきました。ペットへの虐待が社会問題化し、無計画にペットショップに卸すブリーダーや繁殖業者を撲滅するため、卸し先であるペットショップから、そもそも子犬を迎えないようにしようという気運があったためです。

    とにかく昔は安かった

    ブリーダーから子犬を仕入れたペットショップは、さらに利益を乗せて販売するわけですが、ブリーダーから直接譲ってもらった場合、当然その利益が省かれるので、健康で良質な子犬が、より安く手に入るという認識の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    中田さん家のマルチーズの場合

    中田さん家のマルチーズで子犬を譲ってもらおうとした場合、女の子で17万円~22万円、男の子で11万~15万でした(マルチーズ子犬の価格やご予約について|中田さん家のマルチーズ)私も18万円くらいで中田さんからマルチーズを家族に迎えた覚えがあります、当時の相場を考えても、かなり安価な価格設定だったと思います。

    中田さん家のマルチーズ、ホームページ

    もりたさんちのマルチーズの場合

    もりたさんちのマルチーズでは2023年2月の時点で、40万円~50万円(税抜き)(※当犬舎は課税事業者届出書を提出している課税事業者です。免税事業者ではありません)で案内させていただいております。随分、昔に比べれば高額になったと思います。なぜでしょうか。この記事で少しでも理解していただければと思います。

    動物愛護管理法の強化と第一種動物取扱業者の規制

    ご存じの通り動物愛護管理法(以下「動愛法」)(環境省 動物愛護管理法|動物の愛護と適切な管理)は年々規制が強化されています。

    規制が強化されてきた内容

    • 事業所(犬舎)および対面での販売を義務化
      それまでは、遠隔地のためお客さまに会えなくても、子犬を輸送するだけで販売することができた。
    • 生後56日以下の販売禁止(いわゆる8週齢規制)
      それまでは、親犬が子犬を出産した直後でも子犬の販売が可能であり、子犬の健康が確認できる月齢まで育てる必要がなかった。
    • 生涯出産回数6回、7歳以降の出産禁止
      それまでは、親犬に何回でも(機械のように)出産させることができた。
    • 1頭当たりの犬舎スペースの確保
      それまでは、親犬をケージに何頭でも詰め込んで、すし詰め状態でも飼うことができた。

    などです。

    どの項目も犬の事を考えれば当たりまえのことばかりですが、こんなことをわざわざ法律で規制しないと守れないほど(それでも守ってないブリーダーが多数存在します)ブリーダーのモラルは低いということです。

    ブリーダーからマルチーズを譲ってもらうメリットとは

    皆さま、ペットショップではなくブリーダーから直接、子犬を譲ってもらう際のメリットに何が思い浮かびますか。ペットショップより価格が安い。それは時代錯誤です、回れ右でお願いします。あえてここで疑問を投げかけさせてください。そのマルチーズ、本当にマルチーズとマルチーズから生まれた純血種でしょうか。

    本当にブリーダーが高い意識をもって運営している犬舎で交配させたのでしょうか「血統書を持っている」まったく当てになりません。残念ですが血統書は簡単に偽造できます。そう、血統書は性善説のもとで成り立っている仕組みです。例えば大手ペットショップの場合を考えてみましょう。大手ペットショップに子犬を卸している、およそ行政から許可が下りないような環境で犬舎を運営しているブリーダーは、利益と効率を求めるあまり法律を無視し、大量に繁殖用の犬を同じケージやサークルに入れ、まったくと言っていいほど管理していません。毎日のように次々と子犬が産まれるのでわざわざ、どの犬とどの犬をどの時期に交配させた、そのような面倒な管理はしません。そんな環境で発行される血統書に意味はありません。

    もはやその犬舎のブリーダーでさえわかっていない状況

    そういったすし詰め状態の環境で行う繁殖現場では事故が起きがちです。予定していない、想定していない組み合わせで交配している、いや交配が起きてしまっている事は十分考えられます。管理できていない状況で、産まれた子犬の親犬がどの犬であるという基本的なことが不明なため、書類申請時の親犬は最終的にはでっち上げることになります。そもそもブリーダーも意識が低いので、そんな事を気にもしていません。そういった繁殖の背景にも興味を持つべきだと思うのです。

    そういった意識の低いブリーダーはペットオークションへ出品したり、ペットショップへ子犬を卸したり、子犬は展示販売のためペットショップのショーケースを渡り歩き、もはやどこの子犬かわかりません。

    試しにペットショップに行ってスタッフに聞いてみて下さい「販売している子犬のブリーダーに会えますか?」「親犬は見れますか?」まず教えてくれません、教えてくれても曖昧な情報しか教えてくれません。そして、まずブリーダーに会わせてくれません。

    だいたいペットオークションに出品したり、ペットショップに直接卸しているようなブリーダーは、犬舎を人に見せたりできるような、まともな運営をしていません、家畜じゃないんですよ、犬は(苦言)

    もりたさんちのマルチーズが考える、ブリーダーから直接マルチーズを迎えるメリットは

    出自がはっきりしている

    その一点だと思っています。まさにそこに唯一無二の価値があり、その点を放棄してしまうと、もはやブリーダーから子犬を譲ってもらうメリットはほぼないと思ってよいでしょう。私の娘はよく「お父さんにそっくりね」と言われます。わたしも娘を見ると、母を思い起こします。人間でさえここまで似るのですから、マルチーズも当然、親に似ます。その親がどんな親だったか気になりませんか?脳も当然ながら遺伝します。つまり性格もある程度、遺伝するのです(だから私の娘はあんなにわがままなのかもしれない)。

    もりたさんちのマルチーズのポリシー

    もりたさんちのマルチーズでは実際の生体の価格を表示させておりません。これは何も隠したいとかそういったやましい気持ちはなく、単純に価格を前面に出した売り方が嫌いだからです。そもそも、およその生体価格は先ほど申し上げました。あえて情報として表示するほどのことではないと考えています。

    家族を選ぶ基準が価格と地域

    それに、この子犬は〇〇万円、あの子犬は〇〇万円と表示してしまうと、ペットショップの展示販売と同じレベルになってしまいます。また、もりたさんちのマルチーズは「みんなのブリーダー」「ブリーダーナビ」「ブリーダーワン」「ブリーダーズ」など、いわゆるマッチングサイトを利用しません。理由は、あの土俵に自分たちの特別なマルチーズを並べたくないからです。大手マッチングサイトにも良いブリーダーはいると思います。本当はもっとたくさん、アピールできる取り組みをしているのかもしれません。しかし、あの土俵では、まるでカタログのように子犬たちが並び、家族の一員を選ぶための大切な情報が価格と地域だけになってしまうのです。それは親犬にも子犬にも失礼なことだと思うのです。

    ホームセンターで展示販売される犬たち
    衝動買いの温床である展示販売(2023年2月/某ホームセンター)。

    近隣引き渡しサービス

    最近、大手マッチングサイトは子犬を欲しいと思っている人が、遠方に犬舎を持つブリーダーの子犬を近隣で受け取れるよう「近隣引き渡しサービス」を展開を始めました。そしてブリーダー側の手数料は20%とも。しかし、動愛法では子犬の引き渡しは事業所(ブリーダーの犬舎)で、かつ対面販売で行うと、決まっています(どうやってクリアしているのでしょうか)。

    動愛法の趣旨を考えてみる

    しかしよく考えてみてください。

    動愛法が度々規制強化されてきた背景のひとつに、生体のインターネット販売があります。インターネットを通じて会ったこともなければ、素性もわからない人に対し、通販の商品のように簡単に子犬を販売できていた事が、お互いの顔が見えないことで後ろめたさや、罪悪感が薄まり、簡単に犬を捨ててしまう、飼うことを放棄してしまう無責任な飼い主を生み出す一因となりました。

    無責任な飼い主が増えることを未然に防ぐため、生き物ですから安易に決めず「子犬は、いったんは犬舎でブリーダーに直接説明を受けて、よく考えて譲ってもらって下さい」それが動愛法規制強化の趣旨のひとつだと思うのです。犬舎でのブリーダーによる対面販売を間に入れる事で、無責任な飼い主への牽制になると考えたのです。

    規制を強化したにもかかわらず、法の網をかいくぐり、大手マッチングサイトは各地に代理で子犬を販売できるようなサービスを開始したことで、結局状況は元に戻っていないでしょうか。

    結局、苦しい思いをするのはブリーダー

    大手が生み出す新しい利ざやを得るようなサービス、そしてそのビジネスに翻弄されるブリーダー。ブリーダーの利益は減り、生活はより苦しくなりました。新たなサービスを利用するために手数料が必要になったのです。

    ブリーダーは情報弱者

    ブリーダーの多くは情報弱者です。非常に平均年齢が高く、デジタルに弱い立場です。そういった状況で、与えられた仕組みを利用せざるを得ない(勉強しない)ブリーダー側にも問題があります。

    ブリーダーは生体価格に転嫁できない手数料を今まで通りに得るために、親犬に今まで以上に子犬を産ませる、無理をさせる、管理できる頭数を超えて犬を飼育するという本末転倒な状況を招いています。そして、最後には犬の過剰供給となり市場価格は下がり、自ら犬たちの価値を下げ、ブリーダーは犬を作出していく事で生きていけなくなります(自分たちで自分たちの首を絞めるアパレル業界と似ています)。

    安くすることで起きる弊害

    価格を下げることは考える必要がないので簡単です。安売りする理由は楽だからです。そして売れるスピードも上がります。そして価格を下げる前の利益を確保するために効率性を求めて、できるだけ狭いスペースで、よりたくさんの犬を飼い、できるだけ安いドッグフードで、何回も無理をさせて出産させるという悪循環が出来上がります。

    まさに悪徳ブリーダーが誕生する瞬間です。実は価値を高めることの方がとても大変なのです。しかしブリーダーのほとんどはその努力をしたがりません。

    見上げるマルチーズ

    価値を下げる安売りは悪

    価格を下げるという事は、頑張って子犬を産んでくれた母犬の価値も同時に下げる行為だと認識しています。もりたさんちのマルチーズは、私たちが提示する価格が犬舎運営にとって必要な適正価格であり、この価格設定で納得いただけない場合は、他の犬舎でマルチーズを探していただいた方が、当犬舎のマルチーズのためになると思っています。この価格以上の価値に見合うマルチーズをお譲りする事で、わたしたちはマルチーズと共に生きていきます。

    (目安)価格に影響を与える要素とは

    価格に影響を与える要素に、下記のようなものがあります。

    • 健康状態
      当たり前ですが、健康であるということが一番大事です。泉門(ペコ)や鼠径ヘルニア、僧帽弁閉鎖不全症、膝蓋骨脱臼(パテラ)その他、マルチーズ特有の疾患など、確認する点は非常に多岐に渡ります。しかし完璧な犬などおりません、幻想です。大事なのは健康状態を把握しているということです。
    • 出産頭数
      出産頭数が多ければ、犬舎を運営していくだけの資金に余裕が出ますから、当然、価格に反映させることができます。
    • 性別
      なぜか女の子が人気です。男の子に比べて高い設定になります。需要の差でしょうか。私は甘えん坊の男の子のほうが好きです。手がかかる方が可愛いですよ。
    • 血統
      親犬がチャンピオンであったり、なんらかのタイトルを持っているなど。またチャンピオンが系統に存在しても価格が上昇する要因になります。

    他にもいくつかありますが、大きいところではこんなところでしょうか。

    最後に

    生き物の価格ってなかなかデリケートな内容だと思います。記事を書いていて、こんなことを書いていいのかと、いろいろと考えてしまいました。なにはともあれ、もりたさんちのマルチーズの経営方針である

    ひとりでも多く、幸せな飼い主を。一頭でも多く、幸せなマルチーズを。

    を大切に、最高のマルチーズを作出していくための努力を重ねてまいります。

    今回はこんなところで

    ブログは毎週末の更新を目標としております。記事の共有や拡散をしていただけると読む人が増えて励みになります!どうぞ応援よろしくお願いします!

    よいご縁がありますように。