2023年を振り返る

    2023年を振り返る

    今年も残すところ、あと1日となりました。皆さま、1年間本当にありがとうございました。途中、大変なこともありましたが、もりたさんちのマルチーズはいま感謝の気持ちでいっぱいです。

    2023年はたくさんのマルチーズたちに囲まれながら、微力ではありますが、私たちのアンナが出産した2頭のマルチーズが、新しいご家族を幸せに導くお手伝いをいたしました。

    関係各位、皆々さまのおかげでございます。本当にありがとうございました。

    この1年の締め括りとして、今回はこの2023年を少しだけ振り返りたいと思います。後半にアンナの妊娠の結果をご報告させていただき、最後にもりたさんちのマルチーズからメッセージ「今年、最後に伝えたいこと」をお送りして、この記事の締めとさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

    京都のある寺院から望む紅葉

    2023年を振り返る

    この1年を振り返ると、嬉しいことも、悲しいことも、反省したことも、憤りを覚えたことも、今回の記事では書ききれないほど、たくさんの出来事がありました。なかには業界に足を踏み入れ過ぎて、ブログの記事として取り上げるには、憚られるような出来事もありました。

    生命の始まりと終わり

    また、この1年は、多くの「生命の始まりと終わり」を身近な出来事として経験しました。そういった経験から「いのちの終わりと死生観」について、よく考えるようになりました。既にマルチーズと生活を共にされている方々、このブログを読んで下さっている読者の方々、そうした人たちも含め、私たちすべての愛犬家は、少なくとも犬を飼っていない人たちと比較して、少しだけ「いのちの終わり」について考える機会が多い存在のように思います。

    犬を飼っていない人たちにとって「いのちの終わり」は、どこか遠い世界のことのように感じることがあるかもしれません。例えば、自分の子供(人間)が親である自分より先に死を迎えるケースは、それほど多くはないでしょう。しかし、私たちすべての愛犬家は、おそらく自分自身より先に死が訪れる、我が子同然の愛犬の「最期」について考えます。今回はこの「生命の始まりと終わり」という対照的な言葉をテーマに2023年を振り返ってみたいと思います。

    3月 -アンナの出産-

    2023年1月2日、忘れません。アンナ(当犬舎の女の子のマルチーズ)のヒート(人間でいう生理のようなもの)の期間に入り、とても嬉しかったことを覚えています。そこから、いろいろな準備や手配に追われました。

    結果、3月17日に2頭の男の子と女の子を出産しました。喜ばしいとは思いきや、実際には手放しでは喜べず、アンナのお腹の中には4頭存在しており、後の2頭は死産という結果でした。死産という悲しみを乗り越え、無事に産まれた2頭はすくすくと成長し、2か月後には、新しいご家族に迎えていただきました。この出来事や出会いを通し、私たちは人として、ブリーダーとして大きく成長しました。

    長女に抱きかかえられる、もりたさんちのマルチーズのアンナ(女の子)

    この1年間、マルチーズを取り巻く環境を中心に、犬の生体、遺伝子、血統、病気、交配、出産、食事、業界特有のしきたりなど、ありとあらゆる方面、分野に関して、本を読み漁ったりインターネットを駆使して情報を得たり、本当に勉強ばかりしてきました。突然、利用したこともない東北の動物病院に電話をかけて、交配に関する相談をしたこともあります。或いは他のブリーダーと意見が合わず、怒鳴り合いの大喧嘩をしたこともありました。また、専門家である獣医師との話や、同業者であるブリーダーとの話など、少しでも知識を逃さないように会話を録音させてもらったり、メモをさせてもらったりしていました。

    また、失敗をした時に「同じ過ちを繰り返さない」そういった決意のもと、日誌や記録を、情報として残すようにしてきました。おかげで、今では創業当初に比べれば相当な知識とネットワークが得られたと思っています。

    8月 -モモの旅立ち-

    2023年、何よりも大きな出来事だったのは、やはり子犬が産まれたことではなく、モモの旅立ちでした。実は今でもモモのことを思い出すと、泣いてしまう自分がいます。モモは中田さん家のマルチーズから譲っていただいた男の子で、2012年5月14日に、母はララ、父はクッキーとの間に長男として産まれました。縁あって2012年7月12日にわたしの家族として迎え入れました。

    家庭犬として過ごした、生前のモモ(男の子)

    いつもそばにいたモモ

    生前、モモは常に私の手が届く範囲で寝ていました。私がモモから少しでも離れようとすると必ず一緒についてくる、とにかく、どんな時も私と一緒にいたい、そんな犬でした。

    毎夜、モモは、私が寝るために2階の寝室に上がろうと準備を始めると、どんなに寒くても、どんなに面倒でも、毛布の中から、のそのそと出てきて、冷たい階段前の廊下に座り込んで、一緒に連れて上がってくれることを待つ、そんな犬でした。

    もちろん、一緒に2階に連れて上がらないと、キャンキャン「僕も連れて行け」と鳴くので、肩に抱っこして連れて上がるのですが、もう完全に安心しきっているのか、全力で脱力、身体を預けてくるその姿に、只々愛くるしい、そんな感情しか湧き出てきませんでした。そのような当たり前の日常が「もう戻って来ることはない」という現実を前に、今でも受け入れられない自分がいます。

    ボーナスステージ

    マルチーズと生活を共にする皆さま、シニア期のマルチーズと過ごせる時期を、わたしはボーナスステージと呼ぶことにしました。「元気で、やんちゃで、かわいい」が、どうしても先にくる子犬の時期とは違い、シニア期のマルチーズとの時間は、特別で蜜月な時間です。経験した者にしか理解できません。しかしその時間は非常に短いものです。

    この特別で蜜月な時間は、一生懸命に愛犬を大切に育て、共に生活を送ってきた、飼い主さまのみが得られる、特別なボーナス期間です。どうか、長くは続かないその大切で愛おしい時間を1日、1日噛みしめてお過ごし下さい。

    老人とマルチーズ

    まとめ

    2022年1月5日、中田さん家のマルチーズ、中田公子ブリーダーの指導の下、もりたさんちのマルチーズは創業いたしました。2023年に入り、1年間を通して、前半6か月は比較的、計画通りに進んだと思います。

    後半、ケイツの体調が一時的に思わしくなく、アンディ(男の子)との交配を見送ることになったり、血迷って新しいサービスを開始してみたり(一部のファンの方はご存じかと思います)そして最後の最後でも、計画した通りにはいきませんでしたが(後述)それは生き物を取り扱う仕事では仕方のないこと。

    今年はもりたさんちのマルチーズにとって、飛躍とまでは言えませんでしたが、ホップ・ステップ・ジャンプのホップにあたる部分はクリアしたように思います。私たちにとっては上出来です。まずは良しとしたいと思います。

    アンナの妊娠の結果

    アンナは妊娠していませんでした。申し訳ございません。

    毎日、少しずつではありますが、お腹も大きくなっているように感じました。また、体重も少しずつ増えていたので、ついつい1月末には出産かと、スケジュールを確保し、準備を進めておりましたが、結果的には勇み足でした。最後の最後で計画通りにいきませんでした。

    仮予約を済ませ、楽しみにお待ちいただいているお客さまが多数いるかと思うと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。かかりつの動物病院を受診し、結果を聞いた時、私たちも非常に落胆しました。しかし、当然ではありますが、アンナ自身には、なんの責任も問題もありません。アンナは私たちの大切なパートナーですから、また頑張って欲しいと思います。

    今年、最後に伝えたいこと

    2023年の最後の記事も、いよいよ終盤を迎えました。今回の記事に限らず毎回そうですが、いつも長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。最後に、この場を借りて「いかに私たちが強い思いと高い志を持って、この事業に取り組んでいる」ということを発信して、締めの言葉とさせていただきます。

    私たち、もりたさんちのマルチーズの子犬は、他犬舎と違い、皆、丸々と太って元気いっぱいなのが特徴です。ペットショップを始め、他犬舎出身のマルチーズの子犬を何度も見る機会がありますが、かなりの割合でやせ細っており、組織が脆弱です。私たちの子犬のように骨太でやんちゃに走り回ることがありません。

    理由は明白で、栄養価の高い食事をさせているから、それだけです。当犬舎は子犬にニュージーランド産のプレミアムフードに加え、高たんぱくなドッグミルクを合わせて、子犬が欲しがれば、好きなだけ食べさせるようにしています。マルチーズの体を小さくみせるために食事を与えない、またはコストがかかるから食事を与えない。そのような人間側の都合による、残酷な育て方はしません。

    もりたさんちのマルチーズでアンナが出産した2頭のマルチーズ

    同業者(ブリーダー)の皆さまへ

    子犬の体を小さく見せることや、コストを抑えることを目的に、子犬のうちから最低限の食事しか与えないことを繰り返すと、生命エネルギーが少なく、身体機能に脆弱性が残り、慢性的な虚弱体質を形成する原因となり、一歩間違えば虐待です。生後3か月程度は、育ち盛りで一番栄養を欲している時期です。子犬には十分なだけの食事をさせましょう。また「ブリーダーとはいえ、個人事業主であり経営者である以上、コストの削減には取り組まなければならない」そのような考えに至る前に、誰のためのブリーダーなのか、よく考えましょう。

    コストを追求しても、お客さまは支持してくれません。コストの削減を追求して、生体価格を安くしてもお客さまは喜びません。お客さまが望んでいることは、元気で、幸せな、本物(純血種)のマルチーズを家族に迎えること。マルチーズを通して、紀元前から純血種を守ってきた偉人たちと、その長い歴史に思いを馳せるのです。

    私たちブリーダーの仕事は、飼い主さまが安心してマルチーズを家族として迎えられる準備をすること。健康状態に不安を抱えている状態でお引き渡しをしても、良いことはありません。お客さまは1日でも早く、子犬との生活をスタートさせることを夢見ています。しかし、健康状態に不安があるのであれば、お迎えの時期を遅らせる、そういった英断ができるようにならなければいけません。

    生命の保障が1か月、即ちたった1か月の付き合いだからといって、さっさと厄介払いするかの如く、子犬を引き渡してしまうことは止めましょう。私たち、もりたさんちのマルチーズは少なくとも、3年間は生命の保障をいたします。不安が残る状態で子犬を引き渡しても、最終的に私たちで責任を取らなければいけません。長期間に渡り保障するのですから、お引き渡しには万全を期します。当然です。

    飼い主さま、お客さまへ

    子犬は1日親犬と過ごす時間が違うだけで、その後の健康状態に大きく影響を与えます。子犬の健康状態は生後、約6か月を超える成犬とはまったく違い、1回嘔吐するだけで簡単に低血糖症に陥り、死の危険にさらされます。

    また、体調不良により簡単に電解質異常を引き起こします。水分やナトリウム・カリウム・カルシウムなどの電解質のバランスが崩れた状態が続くと、予想するより早くに手遅れになり、点滴投与でも間に合わず命を落とすこともあります。

    あの小さな数百グラムの身体に、小さな小さな心臓が脈打ち、たくさんの臓器が緻密に動き、わずかな水と血が高速で循環しています。野生でもたくましく育つねずみと同じように考えてはいけません。犬は弱い生き物です。その長い歴史で、人間と共生する事で種を存続させてきました。長きに渡るその歴史の中で、マルチーズはどこかのタイミングで人と共に生きていくことを選んだのです。私たちが手間をかけて助けてやらないといけません。その代わりにマルチーズは生涯に渡り、有り余るだけの幸せを届けてくれます。

    私たち、もりたさんちのマルチーズは、創業当初から決めている「ひとりでも多くの飼い主さまを、1頭でも多くの幸せなマルチーズを」を忘れず、世界最高のマルチーズ作出に向けて、2024年も一歩一歩着実に歩みを進めていきます。

    皆さま、この1年間本当にありがとうございました。来年もまたよろしくお願いします。


    2023年12月30日
    代表 森田 順子
    動物取扱責任者 森田学