JAL機炎上奇跡の脱出劇の裏で

    jal機炎上奇跡の脱出劇の裏で

    心よりお見舞い申し上げます

    2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震で、多数の尊い人命が犠牲となっていることに対し、深く哀悼の意を表します。また地震、自然災害により被害を受けられた皆さまに対しまして、心よりお見舞い申し上げます。冬場の寒い時期、まずはお体のことを最優先に安全、安心にお過ごし下さるよう、切に願うと共に、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。

    能登半島地震と航空機衝突事故

    新年早々、大変な災害と事故が起きてしまいました。能登半島地震と羽田空港で起きた、航空機衝突事故のことです。

    能登半島地震

    私は以前、関西を中心に一泊7,800円で宿泊可能な温泉旅館を展開していた会社のシステム部門の担当として働いている時期がありました。特に石川県、福井県には経営する温泉旅館が多数あったため、機会がある度にレンタカーや特急列車で何度も出張で訪れていました。そのような経験もあり、今回の能登半島地震の震災地に対しては、あまり遠い場所で起きたことであるとは感じず、他人事のように思えませんでした。

    連日、報じられるニュース、目を覆うばかりの被災地、日を追うごとに増える犠牲者、本当に心を痛めています。奇跡的に救出された方もいらっしゃれば、倒壊した家屋の下敷きになり、無念にも救出が間に合わず犠牲となった方もいる中で、大切な家族、最愛の人、手塩にかけて育てた子供を失った方々のインタービューを観ると、思わず心に込み上げてくるものがありました。

    航空機衝突事故

    ほとんどの方がご存じかと思います。JAL機と海上保安庁の航空機が衝突し、両機が炎上、最終的に海上保安庁の航空機に乗っていた職員5名が亡くなった事故です。当初、報じられた際、私はこの震災と事故は因果関係がないと思いながらニュース番組を観ておりましたが、続報のニュースを確認していると、徐々にそうではなく、この海上保安庁の航空機は、能登半島地震の被災地に救援物資を運ぶ予定があり、その途中での事故であったと知りました。

    大変、悲しい事故であったことが理解できました。亡くなられた方の家族のお気持ちを思うと、心穏やかにいられません。亡くなられた5名の職員のご冥福をお祈りいたします。

    明るい方向へ脱出する男の人の後ろ姿

    JAL機炎上奇跡の脱出劇の裏で

    事故時、JAL機の客室乗務員の冷静で的確な対応が功を奏して、炎上機内から379人の乗客乗員が全員脱出するという、まさに奇跡的な出来事が起きました。

    少なくとも今回の衝突事故は、衝突した箇所が違った場合、JAL機の乗客乗員全員が爆発等で亡くなっていた可能性があります。1985年(昭和60年)8月12日に発生した、日本航空123便墜落事故(乗客乗員524名のうち死亡者数は520名、航空事故の死亡者数として過去最多)に次ぐ、航空事故となっていたかもしれません。地震で苦しんでいる被災者の方々を思うと、不幸中の幸いという言葉が適切かどうかわかりませんが、この事故に関しては、本当に死者が出なくてよかったと思います。

    私もこの奇跡の脱出劇ですが、ほぼリアルタイムで観ていました。航空機が衝突し、爆発炎上、緊迫した様子の映像を観ると、2001年9月11日、夜更かしをしてテレビを観ていた時、突然流れてきた旅客機がビルに衝突して炎上する映像「アメリカ同時多発テロ事件」を想起させました。

    放置されたペット

    そして今回、そういった衝突事故や奇跡の脱出劇の影で、この記事を掲載しようと思ったきっかけとなるニュースがひっそりと報じられていました。

    JAL機炎上のもうひとつの懸念「預けられていた動物はいたのか」広報は「2件のお預かりがありました」(SmartFLASH) | Yahoo!ニュース

    確かに今回、航空機衝突事故を起こしたJAL機側の乗客乗員(人間)は助かりました。しかし、残念ながら2匹のペット(調べたところ、1匹は猫、あとの1匹は犬なのか猫なのか、それとも他の動物なのかはわかりませんでした)は貨物扱いのため、そのまま機体の貨物室に取り残され、亡くなったということでした。

    この事故で、多数の意見がインターネット上を駆け巡りました。X(旧Twitter)、ヤフーの掲示板、その他、匿名掲示板(正確には匿名性の高い)などです。また、航空機におけるペットの取り扱いを批判する著名人の発言もあり、炎上(「ウェブ上の特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかなさそうな状態」「特定の話題に関する議論の盛り上がり方が尋常ではなく、多くのブログや掲示板などでバッシングが行われる」状態)しているようなニュースもありました。掲示板等に投稿されていた主な意見を抜粋し、少し読みやすく修正して紹介します。

    インターネット上で発信される意見のいくつか(1/3~1/5)

    • 「ペットの同伴搭乗も検討すべき」
    • 「家族同然と家族は別」
    • 「アレルギーの人はどうするんですか」
    • 「ペットホテルに預けるべき」
    • 「日本はバカばっかりになったなぁ」
    • 「ペットって犬猫だけじゃないんだけどな」
    • 「悲しい事例があったからと感情論が優先される国民性が問題」
    • 「一人でも犠牲者がいたらそのような議論になるのでしょうか」
    「匿名性の高さを表現するため」左手で自分を目隠しする男性

    当然ですが意見は様々です。なかなか正解が出ない問題かと思いますが、統計を取ったわけではないことを前提に、全体的に感じるのは、ペットは家族も同然であることを理解したうえで、一方では「人命を最優先する」「ペットと同乗しても緊急時、結局は手荷物を持つことを許されず置いていくことになる」「航空機にペットを乗せる時点で、そういったリスクも許容すべき」と航空機におけるペットに対する現状の扱いに対し、一部否定的な意見があるものの、大半が肯定的な意見(現状維持)ではないかと感じました。

    何がペットで何がペットではないか

    この議論になると思うのは「何がペットで何がペットではないか」です。「ペット」という表現自体が嫌いという人もいらっしゃると思いますが、特にペット自体に興味のない人には「ペット=犬と猫」という認識の方は多いと思います。また一般的に犬や猫以外のペットと聞いて思い起こす動物と言えば、ウサギや鳥ではないでしょうか。中にはネズミやカメ、ヘビ、トカゲがペットという人もいるでしょうし、少なからず牛や豚がペットという人もいると思います。価値観の違いでそれらを家族と思う人もいると思います。この「何がペットで何がペットではない」かは、まさに人間側のイメージや都合であり、なぜかその線引きが「可愛いか、そうでないか」が一つの基準になっているとしか思えない部分があります。

    航空機の客席にペットを同伴させる場合、無条件に同伴させるのは難しいため、線引きをするためのルールが必要になってくるかと思います。どういった制限をすれば、すべての生物にとって公平なルールになるのでしょうか。例えば線引きをする方法に「体重」があるかと思います。10キロを越える体重を持つペットは同席不可とするパターンです。しかし、そうなってくると今回の事故では、救える命と救えない命が出てきそうです。例えばこうです、10kgを超えるゴールデンレトリバーは貨物室へ、5kg以下のマルチーズは客室へ。そうした場合、このような事故が起きた時、どのような議論が巻き起こるのでしょうか。

    ルッキズムと感情論

    犬や猫、そしてマルチーズはとても可愛いです、愛すべき存在です。犬や猫、そしてマルチーズは家族です、かけがえのない安らぎを与えてくれる存在です。こういった価値観は「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)が適用対象動物種を犬や猫に規定を限定している項目があることからも、理解できるように、現在は疑いようのない社会通念であると同時に、ペット界における犬と猫は他の動物と比較して一段レベルが違う扱いを受けている点で、こういった議論がなされる時に他の動物が置き去りにされるケースがあることです。

    このような話になった時、いつも気をつけているのは「可愛いから」「可哀想だから」と感情的に議論すると、矛盾が生まれてしまうという点です「牛や豚は可愛くないから」「犬や猫は可愛いから」と人間側の都合で線引きすると、途端に「同じ命なのに、なぜ毎日、何万頭と食用のために殺されている牛や豚は良いのか」「牛や豚だって可愛いと思う人はいるし、家族だと思っている人もいる」という議論に答えを出さなければいけなくなります。人間側の都合でペットとしてカテゴライズされた犬や猫を「可愛いから」「ペットとして分類されているから」では片付けられないと思います。

    頭を抱えて怒りを抑える女性

    そうではなく「すべての命を大切にしていく」を前提として、だがしかし「人間とそれ以外では線引きが必要になってくるケースが発生することについて、皆で考えておかねばならない」と思います。

    お悔やみを申し上げます

    私も大局に立って何か意見をする立場になく、何を言っても、ただのポジショントークになってしまいかねないので、これ以上、意見することは控えるべきだと思いました。しかし深く思慮するのは、このような痛ましい事故が起きた時、ヒステリーを起こすが如く感情論が巻き起こり、政治家は人気取りに発言し、一種のポピュリズムを助長します。時に動物愛護を縦に過激な発言や行動を取る一部の方がいらっしゃることです。

    インターネットで議論されている、この航空機で起きている犬や猫の扱いについて、仮にも知らない方がいらっしゃれば、この記事を通して一度、考えてみる機会であると思いました。

    私も当初、自分なりの意見を持っていました「アレルギーを持っている人もいるから難しい」(過去に犬アレルギーの知人がおり、近くに犬がいるだけで顔も含め体中が真っ赤になる人がいました)や「そもそも、できるだけ航空機に乗せないようにすべき」など、いろいろと考えましたが、各掲示板に投稿される意見を読んで、私も何が正しいのかわからなくなりました。

    何はともあれ、亡くなったペットとその飼い主さまに、お悔やみを申し上げたいと思います。

    当犬舎の空輸サービス

    私は今までに、マルチーズを飛行機に乗せた経験が実はありません。そこで私たちも考えました。これから、もしかして飛行機に乗せる時が来るかもしれない、その時に私たちはどうすべきなのか。そして考えていく中、そう、私たちの犬舎の子犬引渡サービスに空輸のサービスがあることを思い出したのです。

    空港で航空機の貨物室に貨物を運び込むトラックの様子

    もりたさんちのマルチーズ「ご利用サービス」より抜粋

    お引き渡し方法・費用

    • 遠方よりご見学にお越しのお客様で、ご見学された子犬を後日お引き渡しする場合、最寄りの空港へ空輸にてお届けします。
    • 事前に子犬をお届けする便名・到着時間をお伝えしますので、その時間に直接空港まで子犬をお引き取りに行って頂きます。

    当犬舎のサービスのひとつ、子犬を空輸で運ぶケース。幸いというべきなのかはまだわかりません。現時点で空輸の依頼はありませんが、この航空機衝突事故を受けて、今後もこの空輸のサービスを行うかどうかは、一考する必要があると感じました。

    また経験上、生後2か月程度の子犬は、皆さまが予想するより著しく体調の変化が起きることがわかっており、場合によっては簡単に体調不良で亡くなってしまうことがあります。そういった点をまずは考慮して、この子犬を空輸するというサービスに関しては、よくよく考えていきたいと思います。

    今後、この空輸サービスを停止するか続けていくのか、考えさせられるニュースとなりました。

    最後に

    今回の能登半島地震に関して、岸田首相が令和最大の災害であると会見で言っていました。一日も早く、避難されている方々が安定した生活が取り戻せるようお祈りします。